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キラートマト


ジャンル: アクション
メーカー: アルトロン
発売日 : 93.03.19



「アタック・オブ・ザ・キラートマト」は1978年に発表されたパニックホラーの映画です。
「殺人トマトが人を襲う!」といったキャッチコピーの作品でしたが、悲鳴をあげる人間のうしろでトマトがコロコロ転がっているだけ、人に向かってトマトを投げつけているだけ、さらには倒れた人のそばにトマトを置いただけというシュールな光景の数々に、観客側は悲鳴どころか開いた口が塞がりませんでした。
終始突っ込みどころの多い展開で、敵の弱点だとわかった「思春期の恋」を聞かせようとする人間VS耳栓でむかえうつ巨大トマトなんて戦いが繰り広げられる頃には、ふと自分が今どんな表情をしているのか鏡で確認してみたい衝動に駆られます。唐突に出しゃばってくるスポンサー広告、後ろに見えているスタッフと小道具など、視聴者をいろいろな意味で戦慄させた恐るべき作品でした。独特なテーマソングも耳に残ることで知られています。

そんな映画をアニメ化したものがゲームになったのが、本作「キラートマト」です。

出自からして怪奇なシロモノですが、クセがありつつも意外と楽しめるアクションゲームに仕上がっています。ちょっとかじっただけでは酸味が強いですが、だんだんと味がでてくる作品といえるでしょう。トマトだけに。

あらすじ。狂科学者ドクターガングリーンによって作り出した殺人トマト、「キラートマト」によって、サン・スッチーニの町はあっという間に占領されてしまった。この危機を救えるのはトマトウォーズのベテランであるウィルバー・フィンレターしかいない。さあ、きみもウィルバーと協力してDrガングリーンの野望を打ち砕こう!

ゲームのジャンルは、マリオと同じような横スクロールアクションです。主人公ウィルバーは、その多彩な体技と軍刀を武器にキラートマトに立ち向かっていきます。海外のゲームらしくキャラの動きが滑らかですが、その挙動がまた独特。腰のひけたパンチ、やつあたりのようなキック、投げつける軍刀(消耗品)。彼の一挙一足からにじみでるケンカ弱そうな感じがたまりません。

彼の戦う姿たるや、さすがトマトウォーズのベテラン(トマト相手ならまかせておけ)といった風情。操作方法もかなり変わっていて、ジャンプはAボタン、キックはBボタン、パンチはB+上キー、剣投げはスタートボタンに割り当てられています。パンチやキックはどうにも頼りなさげ一方で、鋭い動きをみせてくれるのが「しゃがみキック」。彼が屈んだ状態からくりだすキックは、やたら高速で動きに隙がありません。その蹴り姿はどうみてもコサックダンスであると、一部のユーザーに有名です。

セレクトボタンで「スケボー移動」ができますが、崩れる床で使っても間に合わず落ちるという肝心なところで使えない仕様。

それからアクションゲームの主人公らしく、びよーんびよーんという擬音が似合いそうなほどよく跳んでくれますが、ひとこと言わせていただくなら、棒立ちでジャンプ→空中で膝を曲げる、という動きは順序が逆でしょう。

進んでいくステージのいたるところでキラートマトは待ち構えていて、物に化けていたり、突然降ってきたり、意表をついて襲ってきます。パンチとかキックとかさんざん紹介してきましたが、ぶっちゃけ踏んで倒すことが一番簡単。倒したあとに飛び散るトマトの残骸は、アイテム扱いで取ることができますが、取らずに放っておくとだんだん化け物顔に膨らんでいくというキモチワルイ演出が見られます。なんだこれ。

ステージにはさまざまなギミックがあることも特徴で、道端の障害物にもアクションを仕掛けることでなんらかの反応をえることができます。電灯に頭突きするとビリビリ感電して無敵、ゴミバコを蹴ってアイテム入手、木の枝をバネがわりに大ジャンプ、といった風。さらには行き止まりで頭突きするとアイテムが飛び出したり、邪魔な壁を蹴ったら破壊できたり(ショートカット)、地形にも意外な反応があります。色々試してみるのがオススメ。

ステージのゴールは、ただたどり着けばよいというわけではなく、どこかにあるトマトジュースの缶をとっておかないとゴールになりません。道中ではトマト缶を忘れずに入手してからゴールにいきましょう。

どうでもいいことかもしれませんが、1面のゴールが切り株の中という事実に対して、なにか説明を要求したい。

特定のステージではラストにボス戦がまちうけていて、巨大トマトとの一騎打ちです。しかしボスは図体がでかいだけなのであまり苦労はしません。この作品で一番凶悪な存在はボスなんかではなく、中盤のステージに登場するパイ製造機でしょう。


ステージの途中、敵やアイテムを通過させると「パイ」になる機械が登場。
 ↓
「敵をパイにしてくれるとはありがたい機械だ」 ウィルバー近づく
 ↓
そこには、一瞬で変わり果てたウィルバー(パイ)の姿が……


本作の特徴をおさらいすると、耳に残るテーマソングが有名、映画版がヒドイことでも有名、主人公は光って無敵になる、しゃがんだままジャンプする、食べ物の敵を足蹴にする、パッケージに赤・緑があるが目立っているのは赤色、といったところ。

以上から、キラートマトはスーパーマリオブラザーズにも並ぶ作品だということがわかります。違いは、せいぜい名作じゃなくて迷作だというくらいのものですね。


むずかしさ:★★★☆☆ コンティニュー無限、それほど難しくはない
セーブ機能:★☆☆☆☆ セーブもパスワードもなし

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